「和」という書の作品
私が結婚式を挙げた時に、両親にプレゼントしたのは、私が書いた「和」という書の作品です。
私の母親は書道の先生で、幼い頃から母に書道を教えてもらっていました。恐らく、母は私に母と同じように書道の先生になって欲しかったと思うのですが、書道とは全く違う世界のITの世界に進んでしまった私。趣味で書を書くこともなくなり、ひたすらパソコン三昧の高校時代の私でした。当時、そんな姿を見て、珍しく父が私に、「いつかお前の書の作品を見たいものだ。」と言ったのです。その言葉がずっと心に残っていました。
大学生になり、家を出て一人暮らしをし始めてからは、あまり家にも帰らなくなってしまいました。就職して、昼夜逆転のような忙しい生活になり、体調を崩してしまった時、母は書道教室を休んでまでも私を看病しに上京してくれました。
縁あって結婚が決まった時、私は「結婚式で、書の作品を両親にプレゼントしたい。」とすぐに思いました。結婚式の準備が大変な中、久々に筆を握り、夜中に何十枚、何百枚と作品を書きました。自分なりに満足のいく作品が出来たと思っています。
結婚式で両親にプレゼントを渡した時、母はポロポロと涙を流して喜んでくれました。父は、小さく頷きながら目頭を押さえていました。今後は真剣に書を学びたいと考えています。